独自動車大手のダイムラーは7日、「レベル4」の自動運転機能を装備した高度自動運転トラックの開発に今後数年で5億ユーロを投資すると発表した。これに伴い「レベル4」の自動運転機能の開発に携わる従業員200人を新たに雇用する。また、年内には、ステアリング操作や加減速をシステムが行う「レベル2」の自動運転機能を備えたフライトライナー「カスケイディア」を市場投入する。なお、「レベル3」の自動運転技術や追従車群走行(プラトゥーニング走行)は実用面での利点が小さいと判断、市場投入を見送る方針も明らかにした。
「レベル4」の自動運転では、特定の場所でシステムが全てを操作する。このため、不注意や疲れなどに起因する事故の発生を回避でき安全性が高まるほか、時間を問わず長距離走行できるなど、効率や生産性が向上する利点がある。
ダイムラーは、世界的に物流需要が増加する中で、自動運転の重要性は高まると見込んでいる。なお、「レベル3」に関しては、緊急時にドライバーが操作しなければならないため、自動運転機能のコストに見合う程の実用面でのメリットが得られないと判断、「レベル3」の自動運転技術の実用化は見送る方針を示した。
「レベル2」の自動運転機能を装備したフライトライナー「カスケイディア」は、メルセデスベンツ「アクトロス」や三菱ふそう「スーパーグレート」に装備されている「アクティブドライブアシスト」やフライトライナーの新型「カスケイディア」に搭載されている「デトロイト・アシュランス5.0」などが採用されており、車線維持や自動加速・ブレーキ機能などにより、より安全で快適な運転をサポートする。
「レベル4」の自動運転技術の開発に投入する従業員200人は主に、IT・プログラミングの知識を持ったメカトロニクスやロボティクス分野の人材を採用する計画。大部分は米オレゴン州のポートランドに新設するダイムラー・トラック・アンド・バスの自動運転トラック研究開発センターに勤務し、自動運転技術の開発・試験・検証などを行う。なお、ポートランドの研究開発センターは、シュツットガルト(ダイムラー)とバンガロール(インド)にあるダイムラー・トラックの拠点とも密接に協力する。
■ プラトゥーニング走行の実用化を見送り
追従車群走行(プラトゥーニング走行)では、先行車両に後続車両が追従する形で自動運転を行い、複数台の車両が一群となって走行する。空気抵抗が少なくなるため、燃費が改善する効果がある。
ダイムラーは米国を中心にプラトゥーニング走行の試験を実施してきたが、期待したほどの燃費改善効果が得られなかった。このため、少なくとも米国の長距離走行では、新しい事業モデルを市場投入する計画はないとした。なお、実施中の共同プロジェクトは継続する方針を示している。