ドイツの電気駆動車購入補助金、申請件数は9万1,498件に

ドイツ連邦経済・輸出管理庁(BAFA)によると、連邦政府と自動車メーカーが共同で実施している電気駆動車(エレクトロモビリティ)を対象とした購入補助金制度は、2016年7月の導入から2018年までの申請件数が合計で9万1,498件となった。内訳は、純粋な電気自動車が5万8,166台、プラグインハイブリッド車が3万3,347台、燃料電池車は35台となった。顧客別では、個人が全体の約43%を占めた。

ブランド別では、BMWが1万5,633件で最も多く、以下、フォルクスワーゲン(VW)(1万3,189件)、ルノー(1万1,258件)、スマート(1万912件)、独郵便・物流大手ドイツポストDHLグループの子会社で電動小型商用車を開発・生産するストリート・スクーター(6,907件)が続いた。モデル別では、ルノー「ゾエ」、BMW「i3」、スマート「フォーツー」が上位を占めている。

この助成プログラムでは、ゼロエミッション車である純粋な電気自動車(BEV)と燃料電池車(FCEV)に4,000ユーロ、プラグインハイブリッド車(PHEV)に3,000ユーロを補助している。

■ 補助金の利用低調

2018年単年では4万4,601件となり、2017年の3万7,874件、2016年の9,023件を上回った。ただ、2017年と比べ約7,000件しか増えておらず、普及はあまり進んでいないとみられている。

同制度の期限は2019年6月30日まで(または、予算を使いきった時点で終了)だが、『オートモビルボッヘ』紙によると、まだ予算の約28%しか使われていない状況にある。同制度では、12億ユーロの予算(連邦政府が6億ユーロ、同プログラムに参加する自動車メーカーが6億ユーロを負担)を確保しているが、政府予算の6億ユーロのうち、申請があったのは約1億6,630万ユーロにとどまっている。

独業界紙『オートモビルボッヘ』によると、申請件数が伸びていないのは、インフラ整備の遅れや航続距離の短さに対する不安に加え、新モデルの少なさが一因と見られている。2018年に新たに助成対象に加わったモデルは現代自動車の「コナ」のみだった。

また、VW「eゴルフ」やスマートの「フォーツー」や「フォーフォー」は納期が最大1年と長いことも申請件数が増えない一因となっている。助成の条件に、補助金の申請から新車登録までの期間が9カ月までと定められているためで、まだ補助金を申請していない顧客も多いという。

さらに、欧州連合(EU)では2018年9月から、すべての新車に新しい燃費・排ガス試験方法(WLTP)が適用されたため、一部のプラグインモデルでは助成金給付の条件である走行1キロメートルあたりの二酸化炭素(CO2)排出量50グラムを上回るモデルがあり、助成の対象外となったことも影響した。

■ 保有台数100万台の政府目標、達成は早くて2022年

ドイツ政府は、電気駆動車の普及台数を2020年までに100万台とする目標を掲げていたが、連邦陸運局(KBA)の統計によると、ドイツにおける2018年1月1日時点の電気駆動車の保有台数は9万8,280台(電気自動車:5万3,861台、プラグインハイブリッド車は4万4,419台)にとどまっている。

ドイツ政府が電気駆動車の普及に向けて2010年5月に発足させた政産学連携プロジェクト「国家プラットフォーム・エレクトロモビリティー(NPE)」では100万台の目標の達成は早くても2022年になると予測しているが、専門家の間では2022年の達成も極めて挑戦的と見られている。

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