独自動車大手のBMWとダイムラーは2月22日、両社による移動(モビリティ)サービス事業の合弁会社の詳細について説明した。両社で10億ユーロ超を投資して、既存のカーシェアリング、ライドヘイリング、パーキング、チャージング、マルチモーダルの5分野をさらに強化するとともに、各分野の連携を強化する。各分野で合弁会社を立ち上げる。出資比率は各社とも50%ずつとする。
具体的には、「リーチ・ナウ(REACH NOW)」(マルチモーダル)、「チャージ・ナウ(CHARGE NOW)」(充電サービス)、「フリー・ナウ(FREE NOW)」(ライドヘイリング)、「パークナウ(PARK NOW)」(駐車サービス)、「シェアナウ(SHARE NOW)」(カーシェアリング)の5社を設立する。独業界紙『オートモビルボッヘ』によると、上部組織「YourNow」(本社:ベルリン)の傘下に合弁5社を置くもよう。
モビリティサービスは両社合わせて現在、計14ブランドを展開しており、顧客数は合わせて約6,000万人。売上高は約30億ユーロ。従業員数は現在約500人だが、今後数年でさらに世界で約1,000人を新たに採用する見通し。
ダイムラーのディーター・ツェッチェ社長とBMWのハラルド・クリューガー社長は同日、ベルリンで開いた会見で、両社は合弁会社の事業には関与しないと述べ、自由な環境で事業を拡大し、将来の収益確保を目指してほしい、との期待を示した。当初は利益率が低くても、投資・成長フェーズの後は魅力的な利益率を確保できるようになることを目指している、と説明した。また、移動サービスでは、各分野でサービスを提供している競合企業はいるが、両社は幅広い分野を網羅していることが強みとなる、との見解を示した。また、両社の100年を超える歴史が持つ信頼性の高さ、ソフトウエアとハードウエアの連携が可能なことも、強みに挙げた。なお、ハードウエア(車両)では今後も競合として切磋琢磨するとしている。
カーシェアリングではこれまで、ダイムラーが「Car2go」、BMWは「ドライブナウ(Drive Now)」のブランドで事業を展開してきた。今後はアプリなどで既存の各ブランドと共に「シェアナウ」も表示する。顧客は「Car2go」と「ドライブナウ」の車両を利用することができ、当面は、利用したい車両に応じてそれぞれのアプリへと自動的に移動する仕組みとする。近く、両サービスを利用できる「シェアナウ」のアプリを導入する計画という。