独自動車大手BMWのハラルド・クリューガー社長は、16日発行の独日刊紙『南ドイツ新聞』に掲載されたインタビュー記事の中で、独競合ダイムラーとの協力について、「資本提携はない」と明言し、「モビリティサービスと自動運転において前進することに集中している」と語った。また、両社が協力する意義については、「我々が協力することにより、モビリティサービスでマーケットリーダーになるチャンスがあり、自動運転システムで世界的標準を設定するチャンスがある」と説明した。
BMWとダイムラーは、カーシェアリングなどのモビリティサービス事業の統合と自動運転分野での協力について合意している。クリューガー社長は同紙に対し、ダイムラーとは見本市で協議の場を持つことが多かった、と説明し、昨年のジュネーブモーターショーでの協議はモビリティサービスにおける協力について突破口が見つかった重要なミーティングだった、と明らかにした。
クリューガー社長は自動運転に関しては、ドライバーがハンドルから手を離すことができる「レベル4」とドライバーを全く必要としない「レベル5」の違いは大きい、と述べたうえで、ダイムラーとの協力では「レベル4」に注力している、と明らかにした。「レベル4」の自動運転機能は、高級車向けの装備パッケージとして顧客に提供することができるが、「レベル5」はもはや個人の移動ではなく、旅客輸送になる、との見解を示した。また、「レベル4」と「レベル5」では全く異なる事業モデルとなるため、「レベル5」にどのように対応していくかについて検討しなければならない、とも言及した。
ダイムラーとは、2024年までに「レベル4」における協力を完了させる計画であるとし、その間の2021年にはBMWの「アイ・ネクスト(i Next)」で高速道路における自動運転走行を実現する予定であるとした。
クリューガー社長はこのほか、コスト削減に向けては、ドアトリムやカラー、カーペット、リムなどのバリエーションを減らす余地があると述べたほか、マテリアルコストや人件費の管理を通したコスト削減の可能性にも言及した。また、従業員については、今年は採用するものの、総合的にみると増員はないとの見解を示した。