独自動車大手のフォルクスワーゲン(VW)・グループは3月27日、米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)と産業用クラウド「フォルクスワーゲン・インダストリアル・クラウド」を共同開発すると発表した。当該クラウドに将来、VWグループの全122工場のすべての産業機械、設備、システムを連携し、生産性の向上など生産工程の改善に活用する計画。長期的には、VWグループの世界におけるサプライチェーンも統合する構想も描いている。
VWはフォルクスワーゲン・インダストリアル・クラウドの構築により、部材供給の不足を事前に予測し対策を取るなど生産の効率と柔軟性が向上すると見込んでいる。また、現在、拠点ごとに部分的に異なる生産プランや倉庫管理などを統一・連携し、生産・物流のデジタル化を推し進める。オープン型の産業プラットフォームを構築し、将来は、VWグループの1,500社を超えるサプライヤーや提携企業の3万カ所を超える拠点とも統合していく意向を示している。
フォルクスワーゲン・インダストリアル・クラウドの開発では、アマゾンのモノのインターネット(IoT)や機械学習、コンピューティングサービスに関するノウハウを活用し、生産分野や自動車産業に適したシステムを構築する。
アーキテクチャとしてフォルクスワーゲンのデジタル・プロダクション・プラットフォーム(DPP)を活用し、DPPに将来、VWグループのすべての拠点やサプライヤーなどを連携する。
開発チームは中期的に約220人の規模になる見通し。ベルリンに共同のインダストリアル・クラウド・イノベーションセンターを設ける計画で、VWのドレスデン、ミュンヘン、ヴォルフスブルクの拠点に勤務する開発者も協力する。
開発チームはすでに、例えば、工場内外でのトラックの位置情報管理サービスや生産設備の稼働効率を示す指標である総合設備効率(OEE)の分析サービスなど、140件のプロジェクトを確定している。2019年末までにフォルクスワーゲン・インダストリアル・クラウドおよび最初の具体的なサービス・機能を稼働させることを目標としている。