独自動車部品大手のZFフリードリヒスハーフェンは3月28日、商用車用のブレーキや安全装置を製造するワブコ(ベルギー)の買収について法的拘束力を持つ合意書を締結した。買収価格は1株あたり136.50米ドル、総額で約70億米ドルとなる。株主の承認や当局の認可を経て、2020年初めにも買収手続きが完了する見通し。ZFはワブコの買収により、商用車用ブレーキのノウハウを初めて取得する。
ワブコの2018年の売上高は33億ユーロ。世界40カ国に従業員約1万6,000人(うち、エンジニア2,600人)を抱えている。ZFとワブコの両社合わせた売上高は約400億ユーロとなる。ワブコの買収はZFの経営戦略「ネクストジェネレーション・モビリティ」の一環に位置づけられる。ワブコの商用車用ブレーキシステムのノウハウは、トラックやトレーラーの緊急ブレーキを含む自動運転機能の制御において重要な役割を担う。
ZFは、商用車のほか、工場の敷地内や空港施設、農業地区など交通量が多くなく、複雑な交通状況が発生しない分野に将来、自動運転機能の需要があると見込んでいる。ZFのセンサーやコンピューター技術とワブコの商用車用ブレーキシステムのノウハウの統合により、これらの分野における自動運転技術の開発を加速でできると期待している。また、乗用車市場への依存度を引き下げる狙いもある。