フランスのソーラーストリートの実証試験が不首尾に

フランス北部のノルマンディー地方で実施されたソーラーストリートの実証試験が不首尾に終わったもようだ。仏日刊紙『ル・モンド』によると、同プロジェクトは、太陽光発電設備を路面に敷設して再生可能エネルギーを得る計画だったが、ソーラーパネルが破損したほか、走行時の騒音が大きく、発電量も少ない――などの問題が発生し、不首尾に終わったという。

同紙によると、当該プロジェクトは2016年末に「ワットウェイ(Wattway)」の名前でスタート、試験期間は2年半だった。ノルマンディー地方の国道D5号線の約1キロメートル(計2,800平方メートル)の区間に、1枚の大きさが15×15センチメートルの単結晶シリコン太陽電池を敷設した。同区間はトラックやトラクターも走行するが、ソーラーパネルの耐久性は極めて高く、トラックの走行にも耐えることができ、ブレーキに対しても従来のアスファルトと同様の耐久性があるとされていた。

しかし、実証試験を始めてみると、ソーラーパネルの破損は修復できない程ひどく、試験区間を100メートル短縮しなければならなかった。また、走行時の騒音が大きいため、試験区間の走行速度を時速70キロメートルに制限した。

発電量は、1日あたり790キロワット時(kWh)、年間では28万8,350

kWhと試算していたが、初年の2017年は14万9,459

kWhと、当初計画の約52%にとどまり、2018年は7万8,397

kWh(当初計画の約27%)と大きく落ち込んだ。2019年の発電量はこれまでに約3万7,900

kWh(約13%)にとどまっており、2018年の発電量をさらに下回ると見られている。

発電量が当初計画を下回った理由としては、◇フランス北部のノルマンディー地域は他の隣国ほど日照量が多くない◇太陽光を受けやすい方向にソーラーセルが設置されていない◇破損により発電量が減少した――などの理由が挙げられている。また、秋の落ち葉や冬の積雪も太陽光発電を妨げる要因となったもようだ。

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