フランス政府は5月28日、3月から実施している新型コロナウイルス感染防止策を緩和し、6月2日付で国内の移動制限を撤廃するほか、飲食店や美術館の再開も認めると発表した。同国では5月11日から商店の営業を認めるなど、段階的に制限措置を緩めており、今回は第2弾の緩和。ただし、パリ周辺では依然として感染リスクが高いとして、飲食店は当面テラス席のみ再開を認めるなど、慎重に制限緩和を進める。
政府は5月11日から外出制限を緩和し、自宅から100キロ以内の移動を認めていたが、2日からは国内の自由な移動を認める。レストランやバー、カフェなどはテーブル間を1メートル以上離し、従業員にマスクの着用を義務付けるなどの対策を講じた上で営業を認める。美術館や博物館も再開可能となる。
また、フィリップ首相は今月15日からドイツなど隣国との国境を開放する方針を表明し、同時にシェンゲン圏内の移動規制を解除することが望ましいとの考えを示した。
一方、公共の場での10人を超える集会やスポーツイベントは引き続き禁止される。パリ周辺では少なくとも6月21日までスポーツジムやプールなどの営業も認められない。
フィリップ氏は記者会見で、新型コロナの新規感染者や重症者が大幅に減少し、医療機関の負担も軽減されているとして「今後は再び自由が原則となり、禁止は例外になる」と強調。そのうえで「感染拡大は抑制できる水準に落ち着いたが、コロナ以前の生活に戻れる段階ではない」と指摘し、引き続き在宅勤務を優先したり、感染者と濃厚接触した人を特定する追跡アプリの利用を促した。