英政府は13日、12月末に欧州連合(EU)離脱後の移行期間が終了するのに備え、企業と国民に「完全離脱」に向けた準備を促すキャンペーンを開始した。EUとの新たな関係がスタートする2021年1月1日以降にどのような変化が生じるかを項目別に説明し、各方面が新型コロナウイルス感染症への対応に追われる中、それぞれ早めに必要な対策を講じるよう呼びかけている。
「英国の新たな出発:さぁ、始めよう!」と題するキャンペーンによると、国境管理については総額7億500万ポンドを投じてインフラ整備を進める。内訳は検問所の設置と人員配置に4億7,000万ポンド、コンピュータシステムの更新に2億3,500万ポンドなどとなっている。
通関手続きに関しては、移行期間終了までにEUとの間で自由貿易協定(FTA)を締結できるかどうかにかかわらず、来年1月から6カ月にわたりEUからの輸入手続きを簡素化し、通関申告を最長6カ月間猶予するとともに、関税の支払いも申告時まで繰り延べを認める。7月以降はEU域外からの輸入と同様の通関手続きを求める。
一方、移民政策については来年1月以降、技能などに基づく「ポイント制度」が導入され、未熟練労働者にとっては就労ビザの取得が難しくなる。具体的には英語が話せることや、承認された雇用主から技能職として仕事をオファーされていることなどが受け入れの条件となる。
このほか政府はEU諸国に旅行する英国民に対し、EU域内とスイス、ノルウェー、アイスランド、リヒテンシュタインで有効な欧州健康保険カード(EHIC)に加え、旅行保険にも加入するよう勧告している。さらに合意なき離脱となった場合はEU共通のペットパスポートが無効となる可能性があるため、必要な書類について早めに情報収集することや、携帯電話のローミング料金などもチェックする必要があると警告している。