独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)・グループ傘下の高級スポーツカーメーカー、ポルシェの電気自動車「タイカン」の販売が好調だ。これを受けて、VWグループ傘下のアウディはドイツのネッカースウルムにある工場から従業員400人を一時的にポルシェのツッフェンハウゼン工場に派遣して「タイカン」の生産をサポートする。アウディの広報担当者が独業界紙『オートモビルボッヘ』(8月30日付、電子版)に明らかにした。
同紙によると、アウディはすでに、6月から第一陣をツッフェンハウゼン工場へ派遣している。今後数カ月以内にさらに従業員を追加派遣する予定。派遣部隊は、組み立て、車体製造、塗装などあらゆる生産工程の従業員で構成されている。派遣した従業員は2年後にネッカースウルム工場へ帰還する予定。
「タイカン」は、生産開始前の予約時点から受注が多かったため、ポルシェは同モデルの生産に向け、当初計画より500人多い2,000人を新規採用した。現在は、1日に150台以上を生産しているが、さらに増産が必要な状況にある。
ネッカースウルムとツッフェンハウゼンは地理的に近い距離にあるほか、ネッカースウルムのアウディ工場では「タイカン」とプラットフォームを共通化しているアウディの電気自動車「eトロンGT」を2020年末から生産する計画であることから、アウディからポルシェへの従業員派遣が可能になった。
なお、ポルシェは「タイカン」の販売好調と、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、「タイカン」の派生モデル「タイカン・クロスツーリスモ」の発売時期を2020年末から2021年初めに延期した。