英政府が休業者への給与補填を延長、コロナ第2波対策で休業命令視野に

英政府は9日、新型コロナウイルス感染拡大の影響で休業を余儀なくされた従業員に対する給与補填を11月以降も継続すると発表した。休業者に給与の80%を支給する雇用支援策は10月末で終了する予定だったが、感染が再拡大する中で飲食店などが営業停止に追い込まれる可能性が高まっており、継続的な支援が必要と判断した。

都市封鎖にあわせて3月下旬に導入された給与補填策は、自主的に休業するケースにも適用されてきたが、11月1日以降は感染拡大防止策として国や自治体から営業停止を命じられた企業や店舗に対象が限定される。1カ月当たり2,100ポンド(約29万円)を上限に、従業員の給与の最大3分の2を支給する。期間は6カ月で、2021年1月に補填比率や支給の条件などを見直す。ロイター通信などによると、新たな雇用支援に伴う財政支出は毎月数百億ポンドに上るとみられている。

政府は今回、休業者向けの給与補填策に加え、営業停止を命じられた企業に対して1カ月当たり最大3,000ポンドを支給する計画も打ち出した。休業中も発生する家賃などの固定費負担を軽減し、事業の継続を支援する。

スナク財務相はコロナ禍が続く中、雇用と事業を守るため引き続きあらゆる手段を講じると強調。「休業を余儀なくされる英全土の企業にとって雇用支援策の延長がセーフティーネットとなるだろう」と述べた。

英国立統計局(ONS)が9日発表した最新データによると、英国では1日の新規感染者数が10月1日までの1週間に1万7,200人に上り、前週の8,400人から2倍超に拡大した。現在のペースで感染が拡大すると、1日あたり最大4万5,000人の感染者が出る可能性も指摘されている。

政府は英全土での都市封鎖は回避し、地域ごとの対策で第2波を抑制したい考え。感染拡大が深刻なイングランドを中心に、既に9月からパブやレストランなどの営業時間を短縮するなどの措置が取られているが、週内にも飲食店の営業停止を含む新たな制限措置が発表される見通しだ。

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