スペイン自動車部品大手のゲスタンプは11日、通信大手テレフォニカと協力し、バルセロナの工場でローカル第5世代(5G)通信を使ったユースケース(システム仕様)を設定したと発表した。設備機器が生成するデータをもとに工場全体を仮想化し、シミュレーションなどを通じて意思決定の最適化につなげる。同国でローカル5Gを使い工場をデジタル化する初のケースで、インダストリー4.0(I4.0)対応の一環となる。
工場におけるデータ収集は、クラウド上のサーバーの代わりに工場内の区画ごとに専用のコンピューターを配置するマルチアクセスエッジコンピューティング(MEC)を基盤とする。同技術では現場でのデータ処理が可能になるため、クラウド経由の場合に比べて処理時間の短縮やデータ通信量の低減につながる。テレフォニカはこのMECを使い、ロボット溶接セルなど工場内の物理的な構成要素を5G通信で相互接続し、これらの機器が稼働中に生成したデータをリアルタイムで処理できるようにした。
収集したデータはデジタルツイン(現実世界の事物を仮想空間で再現する)技術により設備と工場全体のシミュレーションに活用し、問題点の洗い出しや意思決定の最適化を図る。