フランスのマクロン大統領は11月24日のテレビ演説で、新型コロナウイルスの感染再拡大を受けて10月末に再導入した移動制限措置を、2021年1月にかけて3段階で緩和すると発表した。マクロン氏は「第2波のピークは過ぎたようだ」と述べ、クリスマスに向けて店舗などを段階的に再開する方針を示した。
フランスでは夏休みの移動などで9月に入り再び感染者が増え始めた。10月中旬に夜間の外出を禁止したが、感染拡大に歯止めがかからないため、10月30日から不要不急の外出と半径1キロを超える移動を禁止し、生活必需品以外を扱う小売店や飲食店を閉鎖する措置を導入した。その結果、11月初めに1日の新規感染者が8万人に達した後は減少傾向に転じ、24日は9,155人だった。
発表によると、第1段階として28日から全ての小売店の営業を再開し、午後9時までの営業を認める。外出制限も緩和して、自宅から20キロの範囲で3時間まで認める。
第2段階として、1日の新規感染者数が5,000人、重傷者数が2,500~3,000人程度にとどまることを条件に、12月15日付で外出制限を解除し、代わりに午後9時から午前7時までの夜間外出禁止を再導入する。ただし、12月24日と31日は夜間の外出も認める。一方、美術館や映画館などは再開されるが、レストランなどの営業や大規模な集会やイベントは引き続き禁止される。
第3段階となる来年1月20日以降は、1日の新規感染者数が5,000人以下に抑えられていることを条件に、レストランやスポーツジムなどの再開を認める。
マクロン大統領は「クリスマスには家族と過ごせるようになる。ただし、第3波を回避するため不要な移動は控えるべきだ」と述べ、国民に責任ある行動を呼びかけた。
ワクチンに関しては、12月下旬にも入手可能になるとの見通しを示し、最もリスクの高い高齢者や持病のある人などから優先的に接種を開始する方針を示した。ただ、接種の義務化はしないと明言している。
一方、ドイツのメルケル首相は25日、11月末までとしていた飲食店の営業禁止などの措置を12月20日まで延長すると発表した。ドイツでは11月に入って1日の新規感染者数が2万人前後で推移しており、25日には死亡者数が過去最多の410人となるなど、厳しい状況が続いている。
メルケル首相は25日、各州の首相とテレビ会議でコロナ対策について協議し、11月2日に導入した飲食店の営業を原則として禁止する措置の延長などで合意した。小売店の営業は引き続き認めるものの、店内に入れる人数の上限を引き下げるほか、駐車場などでもマスクの着用を義務付ける。
さらに私的な集まりについても人数制限を厳格化し、友人などを会う場合は最大で2世帯5人までとする。ただし、23日からのクリスマス休暇中は最大10人まで集まることを認める。いずれも14歳以下の子供は人数制限から除外される。
メルケル首相は「さらなる努力が必要だ。忍耐と連帯、強い自制心が試される」と述べ、国民に理解を求めた。