独自動車大手のアウディは、既存の生産棟における物流システムの構築や改善などに拡張現実(AR)を活用している。デジタル技術により、仮想空間に現実と同様の環境(デジタルツイン)を再現することで、物流に必要な容器などのプロトタイプを製造する手間を省くことができる。
具体的には、「LayAR」と呼ばれるソフトウエアに、収納棚や容器、部品などの既存のCADデータを入力すると、仮想空間にデジタルツインを再現することができる。マイクロソフトの拡張現実(AR)を活用したウエアラブル端末「ホロレンズ 2」を着用すると、実物大の3Dホログラムが投影され、大きさなどを確認することができる。CADデータを変更すれば直ちに調整できる利点もある。
現在は、例えば、ドイツのインゴルシュタット工場の車体製造に新しい無人輸送システムを導入する際に、同技術を活用する計画がある。
アウディによると、同期機能を使用すれば、AR端末を着用した複数のスタッフが同じ画像を共有し、議論することも可能になる。例えば、異なる拠点のスタッフや、ホームオフィスで作業するスタッフなどとも画像を共有して議論することができる。
当該技術の導入に向けては、ミュンヘンのソフトウエア会社Viscopicと協力し、何カ月もかけて試験を実施してきた。同技術は、生産棟の物流レイアウトの検討のほか、プレゼンやオフィスのレイアウトなどにも活用することができる。