独自動車部品大手のボッシュは7日、2024年に定置用燃料電池の量産を開始する計画を発表した。提携先の英燃料電池開発会社のセレス・パワーが開発した固体酸化物形燃料電池(SOFC)の技術をベースとする分散型発電設備をライセンス生産する。ボッシュは定置用燃料電池事業において、セルおよびスタックを内製するシステムサプライヤーとして事業展開していく。
生産能力は年約200メガワットを計画している。ドイツのバンベルク、ヴェルナウ、ホンブルクの拠点で生産する計画で、量産に向けて2024年までに数億ユーロを投資する。開発は、ドイツのシュツットガルト・フォイヤーバッハ、レニンゲンの拠点で行う。現在は、250人を超える従業員が当該分野に従事しており、人員は1年前と比べると150人増えている。
同社が生産する定置用燃料電池は、自治体や工場、商業施設、データセンターのほか、電気自動車の充電インフラ向けの小型分散型発電設備として需要があると見込んでいる。
エネルギー・ビルディングテクノロジー事業部門の責任者であるクリスティアン・フィッシャー氏は今回の発表に際し、「定置用燃料電池システムにより、ボッシュは開発、生産、販売、サービスを網羅する新しい事業を立ち上げる」との抱負を述べた。
セレス・パワーは次世代の固体酸化物形燃料電池(SOFC)を開発している。両社は2018年8月、戦略提携について合意し、燃料電池セルやスタックの開発で協力してきた。ボッシュは2019年秋にドイツでプロトタイプの生産を開始している。2020年1月にはセレス・パワーへの出資比率を約18%に引き上げた。両社は今後、2024年の量産化に向けて協力関係をさらに強化する。