欧州委員会は7日、日本の化学大手DIC(旧:大日本インキ化学工業)が独BASFの顔料事業を買収する計画を条件付きで承認したと発表した。DICは米国の顔料生産拠点を手放すことが求められる。
DICは2019年8月、BASFの顔料子会社BASFカラー・アンド・エフェクトを11億5,000万ユーロで買収することで合意していた。
欧州委は買収の可否に関する初期調査で、両社が特定の顔料で世界のトップ企業であることから、競争上の問題があるとして、承認を見送っていた。
とくに欧州委が問題視したのは、赤、くり色、紫など幅広い色相を持つペリレン系顔料と、黄色がかった赤や紫など赤色系の色合いを生み出せるキナクリドン系顔料。自動車など多様な分野で使われる。
欧州委は両顔料を供給するメーカーが少なく、顧客企業が簡単にDICまたはBASFの製品から切り替えることができないことなどから、競争上の懸念があるとして買収に難色を示していた。
これに対して、DICが競争上の是正措置として、同社のペリレン系、キナクリドン系顔料の大半を製造する米サウスカロライナ州の工場を売却することを申し出たことから、その実施を条件に承認した。