英がシンガポールとFTA署名、ベトナムとも交渉完了

英国とシンガポールの両政府は10日、自由貿易協定(FTA)に署名した。シンガポールは英国が欧州連合(EU)離脱後にFTAを結んだ最初の東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国となる。12月末にEU離脱の移行期間が終了するため、双方で早急に批准手続きを進め、2021年1月1日の発効を目指す。

英国のトラス国際貿易相がシンガポールを訪問し、署名式に臨んだ。新協定は19年1月に発効したEUとシンガポール間のFTAとほぼ同じ内容で、24年までに幅広い品目の関税を撤廃することや、サービス貿易の段階的な自由化、政府調達市場の開放が柱。電子機器、自動車および関連部品、医薬品・医療機器、再生可能エネルギーの4分野を中心に、認可手続きや安全基準などの非関税措置を削減することも盛り込んだ。

トラス氏は「英国は再び独立した貿易相手国として、自由に通商協定を結べる立場になった。英国にとってシンガポールはASEAN加盟国で最大の貿易相手であり、シンガポールにとって英国は欧州最大の投資先だ。両国は互いに協力してより明るい未来への道を切り開いていく」と強調。シンガポールとの協定により、英国の環太平洋経済連携協定(TPP)加盟に向けて一歩前進したと述べた。

一方、在ベトナム英国大使館によると、11日までに英国とベトナムのFTA締結交渉が完了した。ベトナムはEUとの間で99%の関税撤廃を柱とするFTAを結んでいるが、英国のEU離脱を受け、今年8月に発効したEU・ベトナムFTAに代わる新協定の締結交渉が続いていた。署名式の日程は不明だが、来年1月1日の発効を目指して双方で必要な手続きを進める。

今年1月にEUを離脱した英国は移行期間終了を目前に控え、EUと貿易協定を締結している主要国との間で協定の結び直しを急いでいる。EUとの交渉が難航する中、英政府は10月に日本との経済連携協定(EPA)に署名。11月にはカナダとも優遇関税による貿易を継続するための協定で合意している。

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