VW、ザルツギッター工場でバッテリーのリサイクル開始

独自動車大手のフォルクスワーゲン(VW)グループは1月29日、自動車部品子会社のフォルクスワーゲン・グループ・コンポーネンツが同日、ドイツのザルツギッター工場で、高電圧車載電池のリサイクル施設の操業を開始したと発表した。VWグループにとって初めての高電圧車載電池のリサイクル施設となる。

フォルクスワーゲン・グループ・コンポーネンツは、リチウム、ニッケル、マンガン、コバルトなどの貴重な原材料を自社製品に使用した部品から回収し、同じ品質の部材として再び使用するクローズド・ループ・リサイクルを目標としている。また、アルミニウム、銅、樹脂もリサイクルする。現在の再利用率は約70%にとどまるが、将来は90%以上を再利用できると見込んでいる。

なお、大量の車載充電池のリサイクル需要が発生するのは早くても2020年代の終わり頃になると見込んでいる。このため、現在のリサイクル施設は試験運用として、年間で最大3,600のバッテリーシステム(約1,500トン)をリサイクル処理できる規模にとどめている。今後さらにリサイクル処理技術の改善を重ね、将来的に規模を拡大する計画。

ザルツギッター工場では、回収したバッテリーを急速充電設備など他の用途に2次利用できるかどうかを分析し、これ以上の利用が難しいと判断した電池のみをリサイクル処理している。

処理方法は、高温で電池を溶かす方法ではなく、バッテリーシステムを放電した後、解体し、個々の部品を粒状に細かくし、乾燥させる方法を採用している。その際、リチウム、ニッケル、マンガン、コバルト、黒鉛などの貴重な原材料を含んだ「黒い粉」ができる。ここから個々の原材料を分類するには、水と化学薬品を使用する湿式製錬プロセスが必要となる。このため、当該プロセスは専門技術を持つ提携先に処理を委託している。

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