英政府は2月22日、新型コロナウイルス対策として1月からイングランド全域で実施しているロックダウン(都市封鎖)の緩和計画を発表した。3月8日の学校再開を皮切りに、4段階で緩和を進める。完全解除は6月下旬となる。
イングランドでは1月5日から3回目のロックダウンが実施され、生活必需品以外を扱う店舗や学校の閉鎖、不要不急の外出禁止など厳しい外出・営業制限が続いている。
政府が発表した緩和の行程表によると、第1段階(3月8日~)では学校が再開され、屋外で1人の友人や血縁者と会うことができるようになる。外出自粛を求める「ステイホーム」は維持される。3月29日からはステイホームが解除され、屋外で少人数が会うことができるようになるほか、テニスコートなど屋外スポーツの施設の閉鎖が解除される。
第2段階(4月12日~)では、飲食店の営業規制が緩和され、屋外のテーブルでの飲食が可能となる。生活必需品を扱わない小売店、美容院、図書館、博物館など公共施設の再開も認める。
第3段階(5月17日~)では飲食店の店内営業、海外旅行、屋内で少人数が集まることなどが解禁され、第4段階(6月21日~)ではナイトクラブの営業再開が認められるなど、残る規制が解除される。
英国での新型コロナ感染による死者は12万人を超え、欧州で最も多い。うち10万6,000人がイングランドに集中している。しかし、ロックダウンの効果で、このところ感染者、死者、入院患者は減少傾向にある。
ワクチン接種も進んでおり、これまでに英国内の成人の3分の1に相当する約1,770万人が1回目の接種を受けた。22日には米ファイザーと独ビオンテックが共同開発した新型コロナワクチンと英アストラゼネカのワクチンに関して、スコットランドでは1回の接種によって入院患者がそれぞれ85%、94%減少し、ファイザー連合のワクチンには新型コロナ感染症の発症を防ぐだけでなく感染そのもののリスクを減らす効果もあるという研究結果が発表された。
こうした状況を受けて、政府は経済・社会活動の正常化に向けて動き出した。ただ、2020年3月下旬から6カ月にかけて実施した1回目のロックダウンの解除が早すぎ、感染再拡大を招いたという批判を踏まえ、一気に大幅緩和せず、状況を監視しながら慎重に緩和することにした。各段階の開始時期はあくまでも目途で、ワクチン接種の進み具合やワクチン接種による入院患者、死者減少の効果、感染率、変異したウイルスによる感染の状況をチェックし、予定通り実施するかどうかを判断する。このため、各段階に5週間の間隔を空けた。