欧州議会は4月28日、欧州連合(EU)と英国が昨年末に合意した自由貿易協定(FTA)を前日に開いた本会議で承認したと発表した。これを受けてEU加盟国が29日に同協定を承認し、批准手続きが完了。5月1日付で同協定が正式発効した。
「貿易連携協定(TCA)」と命名されたEUと英国のFTA協定は、英のEU離脱の「移行期間」が終了する昨年12月末を目前に控えた12月24日に合意に至り、英国側は議会が30日に承認した。しかし、EUでは欧州議会が審議の時間が足りないとして、年内の承認を断念したため、加盟国が29日に暫定承認し、発効にこぎ着けた。
正式発効に必要となるEUによる批准は2月末が期限となっていたが、欧州議会での審議が遅れているため、4月末まで延長された経緯がある。
欧州議会では英政府がEU離脱に伴って北アイルランドで物流が混乱している問題に対応するため、北アイルランドのスーパーなどに英本土から入る食品などの複雑な通関・検疫手続きを免除する「猶予期間」を3月末から10月1日まで延長することを一方的に決めた件をめぐり、協定承認を渋る動きもあったが、期限内の正式発効を優先し、賛成660、反対5、棄権32の賛成多数で承認された。