仏自動車大手のルノー・グループは6月28日、電気自動車の車載充電池に関する2つの提携について発表した。中国の再生可能エネルギー大手である遠景科技集団(エンビジョングループ)傘下の車載電池大手エンビジョンAESC(本社:神奈川県座間市)、仏新興企業のヴェルコール(Verkor)とそれぞれ、車載充電池の生産や開発で提携する。ルノー・グループは、両社との提携により、欧州における車載充電池製造のエコシステム(ビジネス生態系)を構築する。
■ エンビジョンAESC、仏北部にギガファクトリー建設
エンビジョンAESCは、仏北部のドゥエにギガファクトリーを建設する。生産能力は、2024年に9ギガワット時(GWh)、2030年までに24GWhとなる予定。エンビジョンAESCグループは、今回の提携を通して、2030年までに2,500人の雇用を創出できると見込んでいる。
このギガファクトリーは、ルノーが仏北部の3工場を統合して設立した電気自動車(EV )子会社「ルノー・エレクトリシティ」に近い。ルノー・グループは、2025年までにこのEV子会社の生産能力を年40万台とする計画。
エンビジョンAESCは、2007年に日産自動車とNECが設立した車載用高性能リチウムイオンバッテリーの設計・製造会社AESCを前身とする。2019年にエンビジョン・グループによるAESCの買収が完了し、エンビジョンAESCが設立された。日産は現在もエンビジョンAESCの株式の20% を保有している。
■ ヴェルコールと高性能電池の開発・生産で協力
仏新興企業のヴェルコールとは、高性能電池の開発・生産で協力する。また、ルノーによるヴェルコールの資本の20%以上の取得について覚書(MoU)を締結した。ヴェルコールは、EV用バッテリーセルを開発しており、仏南東部のグルノーブルに本社を置く。
両社は具体的には、Cセグメント以上のルノーおよびグルプブランドのアルピーヌのモデルに搭載する高性能電池の開発で協力する。
提携の第1フェーズでは、研究開発センター(ヴェルコール・イノベーション・センター)への資金支援、フランスでの電池セルの試験生産ラインの構築、モジュールのプロトタイプの作製および生産を計画しており、2022年にも実施する。
第2フェーズでは、フランスに高性能バッテリーセルのギガファクトリーを建設する計画で、生産能力は2026年に10GWhとし、ルノー・グループに製品を供給する予定。2030年までに20GWhへの拡大を視野に入れる。