英携帯電話サービス大手、EUでのローミングに課金

英携帯電話サービス大手のEEは6月24日、同社の顧客が欧州連合(EU)内で携帯電話を使用する際に発生する国際ローミング料金の無料化を廃止すると発表した。英国のEU離脱に伴うもので、2022年1月から有料化する。

英国の携帯電話サービスによるEUでのローミング料復活は初めて。EEは7月7日以降に契約した顧客を対象に、EUを含む欧州47カ国でサービスを利用する際に1日当たり2ポンド(約308円)のローミング料を22年1月1日から徴収する。英領北アイルランドと国境を接するアイルランドでの利用については例外とし、無料化を続ける。

EUでは2007年6月に採択された「携帯電話の国際ローミングに関する規則」に基づき、域内の他の国で音声通話、ショートメッセージサービス(SMS)、データ通信を利用する際のローミング料徴収を17年6月15日から廃止した。英国の携帯電話サービス事業者も同規則に従う義務があったが、英国がEUから離脱したことから課金が可能となった。

ローミングは自社の顧客が海外で、提携している他の事業者のネットワークを利用してサービスを受けることができるようにするもの。EUの事業者はローミング料を顧客に代わって負担し、提携している事業者に支払っている。

EEはローミング料徴収の復活によってコストを削減し、浮いた資金を英国内のサービス拡充に充てると説明している。

英通信大手BTグループ傘下のEEを含む同国の携帯電話サービス大手は1月時点で、EUでのローミング料を引き続き無料とする意向を表明していたが、EEはコスト節減を優先して方針転換した。他社ではO2が6月23日、EU内での利用に制限を設け、1カ月の通信量が25ギガワット(GB)を上回れば超過分に課金すると発表したが、ローミングサービスの節度を越えた乱用を防ぐためのフェアユース(公正利用)制度に基づくもので、厳密にはローミング料復活とはみなされない。

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