フランスのマクロン大統領は12日、医療従事者などに新型コロナウイルスワクチンの接種を義務付けると発表した。インド型(デルタ型)変異ウイルスの感染が広がっていることを受けた措置。飲食店などを利用する際にワクチン接種証明書などの提示を求める方針も打ち出した。
ワクチン接種が義務化されるのは医療従事者や介護関係者など。9月15日までの接種を求められる。従わない人には罰金などの罰則を適用する。
フランスでは大規模なイベントに参加する際に、ワクチン接種、陰性証明書や感染回復証明書の提示を求めている。7月21日からは映画館、劇場への入場でも必要となる。さらに、8月からは飲食店、商業施設、長距離の列車、バスや航空機を利用する際も提示を求める。
同国では4月中旬に4万人を超えていた1日当たりの新規感染者が、6月には2,000人以下まで低下したが、このところデルタ株の流行で増加しており、4,000人を超えている。政府は感染状況が一時より大きく改善したことで安心感が広がり、ワクチン接種のペースが鈍化していることもあって、今回の措置に踏み切った。
欧州連合(EU)ではイタリアが4月から医療従事者などにワクチン接種を義務付けている。12日にはギリシャも同措置を発表した。しかし、多くの国が義務化には慎重で、ドイツのメルケル首相は12日、実施を検討していないと表明した。このため、義務化はフランスを含む3カ国にとどまっている。