欧州連合(EU)の欧州医薬品庁(EMA)は20日、製薬大手の仏サノフィ、英グラクソ・スミスクライン(GSK)が開発している新型コロナウイルスのワクチンの審査を開始したと発表した。「逐次審査」の対象とし、通常より手続きを簡素化して審査を進める。
両社は2020年4月に新型コロナワクチンを共同開発すると発表。21年5月26日に最終段階の臨床試験(治験)を開始したと発表していた。年内の承認を目指している。すでにEUは最大3億回分を調達する契約を結んでいる。
同ワクチンは遺伝子組換えタンパク質をベースとしたタイプ。EMAはこれまでの研究、初期の治験の結果、効果が期待できるとして、逐次審査開始に踏み切った。
逐次審査は感染症の世界的流行など緊急時に際して必要なワクチンや治療薬の承認手続きを迅速化するため、試験データを順次審査する制度。通常は臨床試験(治験)の最終データがまとまってから承認が申請され、審査を開始するが、同制度では承認が正式に申請される前の段階で、最終的な試験結果を待たずに入手可能なデータから順次審査を進める。このため通常より短期間で審査を完了することができる。
EMAは現在、独キュアバック、米ノババックス、中国の科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)のワクチンやロシア製の「スプートニクV」の逐次審査を行っている。