欧州委員会は7月28日、英グラクソ・スミスクライン(GSK)が米ヴィル・バイオテクノロジーと共同で開発した新型コロナウイルス治療薬「ソトロビマブ」の購入契約を結んだと発表した。欧州連合(EU)27カ国のうち16カ国が共同で最大22万回分を調達する。契約額は非公表。EUによる新型コロナ治療薬購入契約は3件目となる。
ソトロビマブは新型コロナ感染症に有効な抗体を人工的に作ったモノクローナル抗体(中和抗体)治療薬。酸素吸入を必要としない中等症の患者に投与される。米食品医薬品局(FDA)が5月に緊急使用を承認した。
EUでは欧州委が6月に指定した5種の推奨治療薬のひとつとなっており、現在は欧州医薬品庁(EMA)が「逐次審査」を行っている。16カ国はEMAが承認するか、各国当局が緊急使用を承認すれば、患者への投与を開始する。
EUでは米バイオ医薬品企業ギリアド・サイエンシズの抗ウイルス薬「レムデシビル」が唯一、新型コロナの治療薬として承認されており、すでに購入している。このほか、スイスのロシュと米リジェネロン・ファーマシューティカルズが共同開発した治療薬(2種類の中和抗体を組み合わせる抗体カクテル療法の治療薬)を5万5,000万回分購入する契約を4月に締結していた。