英製薬大手アストラゼネカは20日、新型コロナウイルス感染症向け治療薬「抗体カクテル療法」について、治験の最終段階である第3相試験で重症化リスクがある患者の症状の進行を77%抑えることができたと発表した。年内に主要市場で条件付きの承認獲得を目指す方針で、それまでに100万~200万回分を生産する計画という。
同社の抗体カクテル療法は、新型コロナウイルスに作用する2つの抗体を混ぜ合わせて作った薬を感染者に投与し、ウイルスが増殖するのを阻害する。治験は昨年11月から米国、英国、ベルギー、フランス、スペインで実施され、約5,200人が参加した。アストラゼネカによると、抗体カクテル療法を受けた治験参加者で重症化したり、死亡した人はおらず、プラセボ群と比べて77%の進行抑制効果が確認された。今回の治験結果は投与から3カ月経過した時点のデータをまとめたもので、効果が1年間持続すると期待されている。アストラゼネカは15カ月後まで追跡調査を行い、効果の持続性を確認する。
一方、英医薬品・医療製品規制庁(MHRA)は20日、米バイオ企業のリジェネロン・ファーマシューティカルズとスイス・ロシュが共同開発した抗体カクテル療法を承認した。英国で抗体カクテル療法が承認されたのは今回が初めて。近く投与が開始される見通しだ。