インド鉄鋼大手のタタ製鉄は15日、欧州子会社のタタ・スチール・ヨーロッパを通してオランダのエイマイデン製鉄所の脱炭素化に向けて水素利用の実現可能性を調査すると発表した。同製鉄所は環境対応を強化するため二酸化炭素(CO2)排出量を2030年までに40%、年500万トン削減することを計画している。
二酸化炭素(CO2)の回収と貯留のほか、コークスの代わりに水素や天然ガスを用いて鉄鉱石から酸素を取り除く直接還元鉄(DRI)方式の設備導入を検討する。同社はオランダの最大労組FNVとの共同研究を通じ、これらの施策が実現可能だと判断している。
タタは今年4月に発表したエイマイデン製鉄所の脱炭素化に向けた環境事業計画で、◇同製鉄所の高炉2基から出るCO2を回収し、北海の枯渇ガス田に貯留する◇高炉から発生するガスを利用して年1万トンの水素を生成し、鉄鋼生産での利用や、将来の水素ネットワークに供給する――といった施策を盛り込んでいた。
タタは昨年12月、約3億ユーロを投資して同製鉄所の環境能力を引き上げることを発表。ペレットプラントに排煙脱硝(DeNOx)設備を設置することや、コークスガスプラントの近代化などの計画を明らかにした。同社は2050年までにカーボンニュートラルを達成する目標を掲げている。