英がニュージーランドとFTA合意、TPP交渉に弾み

英政府は10月20日、ニュージーランドとの自由貿易協定(FTA)で合意したと発表した。英国の欧州連合(EU)離脱時点でニュージーランドとEUはFTAを結んでいなかったため、英国にとってゼロから交渉を開始した貿易協定としては、6月に合意したオーストラリアに続き2件目となる。ニュージーランドは環太平洋連携協定(TPP)の加盟国で、英国が進めるTPP交渉に弾みがつくとみられる。

ジョンソン英首相とニュージーランドのアーダーン首相がビデオ会議で合意に達した。ジョンソン氏は「ニュージーランドとの長年にわたる友好関係をさらに強固なものとし、アジア太平洋地域とのつながりを深める偉大な協定だ」と強調。アーダーン氏も「貿易協定によって両国の関係がさらに強化され、新たな段階に進むきっかけになる」と述べた。

英政府の統計によると、両国間の20年の貿易額は23億ポンド(約3,600億円)と、英国の貿易額全体の0.2%ほど。英側は牛肉やバター、チーズなどを除く大部分の品目、ニュージーランド側は全ての品目の関税を即時撤廃する。英国にとっては衣料品や自動車、建機などの輸出拡大が見込まれ、弁護士などの専門資格がニュージーランドでも認められるようになる。

英国は2022年末までに貿易総額の80%をFTAでカバーするとの目標を掲げている。ニュージーランドとのFTAが英国の国内総生産(GDP)を引き上げる効果はほとんどないが、英政府はインド太平洋地域を重視する姿勢を打ち出しており、同国をオーストラリアなどと並んでEU離脱後の優先交渉国と位置づけていた。

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