欧州連合(EU)の欧州医薬品庁(EMA)は11日、新型コロナウイルスワクチンの追加接種(ブースター接種)を4カ月程度の短い間隔で繰り返すことについて、ワクチン戦略としての持続性に懸念があるとの見解を示した。1回目の追加接種の重要性を強調した上で、2回目の追加接種に関しては現時点で必要と判断するためのデータがないと説明している。
新型コロナのワクチンや治療薬に関する定例会見で、EMAのワクチン戦略を統括するマルコ・カバレリ氏が追加接種について見解を示した。同氏は伝播性の高いオミクロン変異体が急速に広がっている現状を踏まえ、改めてワクチンの接種率を上げる必要性を強調するとともに、1回目の追加接種も重要との考えを示したうえで、短い間隔で追加接種を繰り返すと免疫システムに過剰な負荷をかける恐れがあると指摘。「追加のブースター接種は緊急時の対応策であり、短い間隔で接種を繰り返すのは持続的な長期戦略にならない」と述べた。
カバレリ氏はさらに、オミクロンに特化した改良型ワクチンの必要性に関しては、ワクチンの効果についてさらに詳しいデータを入手する必要があると説明。「目の前の状況に対応するだけでなく、新たな変異ウイルスの出現に備えたアプローチを模索し、ワクチン戦略についてしっかりと議論することが重要だ」と強調した。
オミクロンが世界的に流行するなか、イスラエルは60歳以上を対象に2回目の追加接種を開始。EU内でもフランスやドイツなどを含め、ワクチン接種完了から追加接種までの間隔を当初計画の6カ月から3~4カ月に短縮する動きが広がっている。