独自動車大手のフォルクスワーゲン(VW)は3月29日、東ドイツ地域のツヴィッカウにあるVWの拠点で電力網と電動車(エレクトロモビリティ)のより効果的な連携の可能性を探るためのパイロットプロジェクトを実施すると発表した。地域の再生可能エネルギー設備が増える中、容量に限りのある配電網の増設工事が実現するまでの移行期間の対策として、電気自動車の充電をインテリジェントに調整するシステムの可能性を調査する。
具体的には、ソフトウエアを活用した電動車の充電プランと電力網の運営の調整や、時間帯に応じて充電料金が変動するシステムなどにより、地域の再生可能エネルギーの有効利用と配電網の容量に配慮した電動車の充電タイミングの最適化の可能性を探る。例えば、地域の再生可能エネルギーの余剰電力を電動車に充電できれば、電力網の空容量が足らないために風力発電設備や太陽光発電設備の稼働を停止するといった措置を取る必要がなくなる。
今回のパイロットプロジェクトは、ブランド「エリ(Elli)」でエネルギー・充電サービスなどを提供するVW傘下のフォルクスワーゲン・グループ・チャージング、東ドイツ地域の配電大手ミッテルドイッチェラント・ネッツゲゼルシャフト・シュトローム(MITNETZ STROM)、電気・ガス業界を専門分野とするコンサルティング会社のEブリッジ・コンサルティングが共同で実施する。
パイロットプロジェクトの成果は、電力網とエレクトロモビリティのより効果的な連携を可能にするための今後の行政・法的措置の改善に役立てる。プロジェクトでは、安全で効率的なデータ通信のコンセプトについても調査する計画。