独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)・グループのヘルベルト・ディース社長は5日、傘下のスペイン自動車大手セアトの電動化に向けて提携企業と総額で100億ユーロを投資する計画を発表した。スペイン政府が実施する新型コロナウイルスによる危機からの戦略的復興・変革プロジェクト(PERTE)の資金援助が認可されることが前提条件となる。バレンシア州のサグントに建設する大型バッテリー工場(ギガファクトリー)には30億ユーロ超を投資する計画。
VWグループは、PERTEの自動車分野のプロジェクト「電気自動車(EV)・コネクテッドカー分野の戦略的復興・変革プロジェクト(PERTE-VEC)」からの資金支援が得られることを条件に、セアトの将来戦略「フューチャー:ファスト・フォワード」の提携企業と共同で総額100億ユーロを投資する計画。
サグントに建設するバッテリー工場は、生産能力が年40ギガワット時(GWh)となる計画で、スペイン初のギガファクトリーとなる。VWグループは、同国のマルトレルとパンプローナの2工場で電気自動車を生産する計画で、ギガファクトリーの製品はすべてこの2工場に供給する。
ギガファクトリーは、2023年第1四半期に着工し、2026年に生産を開始する予定。同拠点では2030年までに3,000人を超える雇用が創出される見通し。同工場は、VWグループが欧州に計画する6つのギガファクトリーのうち3番目の工場となる。
■ 西イベルドローラと太陽光発電エネルギーの調達で協力
VWグループは今回の発表会見で、スペインのエネルギー大手イベルドローラと太陽光発電エネルギーの調達に関する戦略提携を締結した。サグントに太陽光発電パークを建設し、再生可能エネルギーをギガファクトリーに供給する。
太陽光発電パークの面積は250ヘクタールとなる予定。ギガファクトリーから10キロ以内の近距離に建設する。第1段階では、新工場のエネルギー需要の20%に相当する電力を供給する。