伊が140億ユーロの追加経済対策、一段のエネルギー高騰に対応

イタリア政府は2日、エネルギー価格高騰で打撃を受けている家計と企業を支援するため、総額140億ユーロに上る追加の経済対策を閣議決定した。中低所得者への一時金の支給や、光熱費高騰の影響を強く受けている企業などに対する補助金や融資保証などが支援策の柱。一方、石油やガス価格の高騰で超過利潤が発生したエネルギー企業に対する課税率を引き上げ、経済対策の財源に充てる。

伊政府はエネルギー価格の高騰に対応するため、昨年から複数回にわたり経済対策を打ち出しており、その規模は1月以降だけで155億ユーロに上る。ロシアのウクライナ侵攻でエネルギーや原材料価格の高騰が加速しているほか、ロシアに対する経済制裁の影響も徐々に広がっていることから、追加の緊急支援策をまとめた。

欧米メディアによると、年収3万5,000ユーロ未満の中低所得者に一律200ユーロ(約2万7,500円)を支給する。光熱費高騰の影響を強く受けている企業のほか、ウクライナやロシアでの工場閉鎖や販売市場の消失などにより深刻な打撃を受けている企業を対象に、最大40万ユーロの補助金を交付するとともに融資保証を提供する。また、当初は5月2日までとなっていたガソリン税の減税措置を7月8日まで延長する。

一方、電気やガス、ガソリンなど石油製品を生産・販売する事業者を対象に、超過利潤に対する課税率を現在の10%から25%に引き上げる。政府は3月時点で超過利潤税による税収を年間で約44億ユーロと試算していたが、税率の引き上げでおよそ100億ユーロに膨らむとの見通しを示している。

ドラギ首相は記者会見で「今回の措置は、多くの国民を苦しめている生活費の問題に対処するためのものだ。光熱費の高騰で打撃を受ける家計と企業を支援するため、政府は引き続き強力で断固とした対策を継続する」と強調。必要があれば追加的な措置を講じる用意があるとつけ加えた。

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