ルノー、モロッコから年5,000トンの硫酸コバルトを調達へ

仏自動車大手のルノーは1日、モロッコの鉱山・冶金企業マナジェムと、電気自動車(EV)のリチウムイオンバッテリーに使う硫酸コバルトの調達で覚書(MoU)を交わしたと発表した。マナジェムは2025年から7年間、年5,000トンの硫酸コバルトをルノーに供給する。これによりルノーは、年間15ギガワット(GWh)の電池生産量に相当する硫酸コバルトを確保できる。

マナジェムはまた、コバルト鉱石を硫酸コバルトに精製する工場を新たに建設する予定。ルノーによると、自動車メーカーと鉱山会社が直接協力することで、コバルトのサプライチェーンに長期的なトレーサビリティ(追跡可能性)を実現できる。また、コバルトの生産工程における使用電力の80%以上を風力発電で賄う。ルノーはEVバッテリーの二酸化炭素(CO2)排出量を2025年までに20年比で20%、30年までに同35%削減することを目指している。

ルノーは2021年夏、モロッコ当局と2030年までの協力協定を締結した。モロッコ王室のバックアップのもと、eモビリティに関連するプロジェクトを順次立ち上げ、同国における電動車のエコシステム(製造生態系)を構築する方針だ。それに沿って同社は、現地調達規模を2025年までに25億ユーロに引き上げ、最終的に30億ユーロにまで拡大することを計画している。

モロッコのリヤド・メズール産業貿易相は、「モロッコの自動車産業は、持続可能で効率的な国内産コバルトの調達により、電動化への移行を加速している。モロッコがEVバッテリーの供給基地となるよう取り組んでいく」と述べた。

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