ダイムラー・トラック、液体水素を燃料とする燃料電池トラックを走行試験

独商用車大手のダイムラー・トラックは6月27日、液体水素を燃料とするメルセデス・ベンツの燃料電池トラックのプロトタイプ「GenH2 Truck」を発表した。当該プロトタイプの走行試験は、ダイムラー・トラックの工場のある独ヴェルトなどで実施する予定。

液体水素は、ガス状の水素に比べエネルギー密度が高いため、航続距離が長くなる。ヴェルトにある開発・試験センターではこのほど、液体水素(LH2)の燃料を補給できるステーションのプロトタイプを開設した。液体水素を摂氏マイナス253度の低温でトラックの両側にあるタンクに補給する。液体水素ステーションの設置では仏工業ガス大手のエア・リキードと協力している。

ダイムラー・トラックはさらに、産業ガス大手のリンデと液体水素の新しい燃料補給技術「sLH2」(subcooled liguid hydrogen)の開発にも取り組んでいる。「sLH2」は、従来のLH2に比べ貯蔵密度が高く、燃料補給も容易になるという。パイロットステーションで2023年にプロトタイプの燃料電池トラックに初めて「sLH2」を用いた燃料を補給することを計画している。

■「GenH2 Truck」、航続距離は1,000キロメートル以上

「GenH2 Truck」は、量産モデルの航続距離が1,000キロメートル以上となる予定。2020年代の後半に量産を開始する見通し。ダイムラー・トラックは2021年から、施設内のテストコースと公道でプロトタイプ「GenH2 Truck」の走行試験を実施している。

ダイムラー・トラックは、気候中立(CO2中立)に向け、電気トラックと水素を燃料とするトラックを並行して開発するダブル戦略を取る方針を示している。2039年までに世界の主要市場における新車販売をCO2中立の駆動装置を搭載したモデルとする目標を掲げている。

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