欧州自動車大手のステランティスは9月20日、イタリアで実施する事業刷新計画を発表した。電動車向け変速機の生産と、循環型経済システムの確立に向けた新部門の開設が中心となる。同計画は経営戦略「デア・フォワード2030」の一環として実施する。
ベルギーのパンチ・パワートレインとの合弁事業である変速機開発会社「eトランスミッション・アセンブリ」と共同でトリノのミラフィオーリ工場で次世代型の電動デュアルクラッチトランスミッション(eDCT)を生産する。当該eDCTはステランティスのハイブリッド車(HV)とプラグインハイブリッド車(PHV)に搭載されるもので、値ごろ感のある電動車向けに品質とコスト面でバランスの取れた製品を供給する。新設する生産施設は2024年後半に操業を開始する予定。フル稼働時にはフランスのメス工場と連携し、欧州全体のステランティスの工場に供給する。
ミラフィオーリ工場はまた、循環型経済事業の新部門のハブとなる。同事業では自動車及び部品の持続可能性を追求するため、車の再生、解体、部品の再加工という3つの活動を軸に展開する。新部門は2030年までに20億ユーロの収益実現を目指すとともに、将来的に活動を世界規模で展開していく。
このほか、イタリア南部のメルフィ工場とフランスのソショー工場が連携し、最大航続距離が700キロメートルの電気自動車(EV)向けのプラットフォーム「STLAミディアム」を開発する。また、ステランティスが資本の3分の1を保有する電池合弁会社オートモティブ・セル・カンパニー(ACC)はイタリアのテルモリにあるステランティスの既存工場を改築し、ギガファクトリー(電池セル工場)を開設する。