フランスの自動車大手のルノー・グループと原子力・ 代替エネルギー庁(CEA)は16日、電気自動車の双方向充電器の開発で協力すると発表した。この充電器は、高効率でコンパクトな設計を特徴とする。充電時のエネルギー損失を30%削減できるため、充電時間を大幅に短縮することができる。また、電気自動車に充電した電力を必要に応じて電力網に供給(V2G)したり、自宅用の電力として使用したりすることができる。共同開発した充電器は、2020年代末までにルノーの量産モデルに採用される予定。
この双方向充電器で重要な役割を担うのは、車載充電器に組み込まれる電力変換器の新しいアーキテクチャで、窒化ガリウム(GaN)や炭化ケイ素(SiC)などのワイドギャップ半導体をベースにしている。電圧変換におけるエネルギー損失を30%削減し、同じ量の発熱も削減することができるため、冷却システムの負荷を軽減することができる。
さらに、アクティブコンポーネント(半導体)とパッシブコンポーネント(コンデンサと巻線インダクタ)の最適化により、充電器の体積とコストも削減することができるという。特に、高周波に適したフェライト材の使用や、粉末射出成形と呼ばれる成形プロセスによりコンバーターを小型化することができる。