欧州連合(EU)のミシェル大統領と欧州委員会のフォンデアライエン委員長は3日、ウクライナの首都キーウでゼレンスキー大統領と会談し、ロシアからの軍事侵攻が続くウクライナへの支援策や、同国のEU加盟問題などについて協議した。
ウクライナ国内でEUと同国の首脳会議が開かれたのは、2022年2月24日にロシアによる軍事侵攻が始まって以来、今回が初めて。東部ドネツク州の要衝バフムト近郊などで激しい戦闘が続く中での開催となった。
会議後の共同会見で、ミシェル氏は「ウクライナの未来はEUとともにある」と述べ、ウクライナへの支援を継続していく方針を改めて示した。また、フォンデアライエン氏はロシアによる軍事侵攻から1年の節目を迎える今月24日までに、EUとして第10弾となるロシアへの追加制裁を発動する意向を示した。
一方、ゼンレンスキー氏はロシアに対するEUの制裁に関して、「ロシアが軍事力を再構築できないようにする必要がある」と強調。そのうえで「バフムトはウクライナの要塞であり、決して手放さない。長距離兵器の供与が早期に実現すれば、バフムトを維持するだけでなく、不法占拠されているドンバス地域の奪還を進めることができる」と述べ、さらに強力な軍事支援が必要だと訴えた。
EU加盟に関しては、ウクライナは2年以内の実現を目標に掲げており、ゼンレンスキー氏は「(早期加盟に向け)年内に交渉開始の準備が整うと信じている」と述べた。これに対し、フォンデアライエン氏は「加盟プロセスに厳格な期限はない。ウクライナが達成しなければならないゴールがあるだけだ」と発言。加盟基準を満たすために汚職対策など国内改革を進めるウクライナの取り組みを評価しつつ、加盟時期の見通しなどには言及しなかった。
ウクライナはロシアが同国への侵攻を開始した直後の昨年2月28日にEU加盟申請書に署名。EUは昨年6月の首脳会議で加盟候補国に認定した。欧州委は今秋にも加盟に向けた改革の進捗状況について中間報告をまとめる見通しだが、ウクライナは国際NGOが最近発表した22年時点の腐敗度指数で180カ国・地域中116位(前年は122位)と低迷しており、早期加盟に向けてさらに改革を加速させる必要がある。