スイスの大手資源商社グレンコアは9日、カナダのバッテリーリサイクル大手ライ・サイクル(Li-Cycle)と共同で、イタリアでのリサイクル工場設置を計画していることを明らかにした。実現すれば欧州最大のバッテリーリサイクル拠点となる。
同工場の開設は、電気自動車(EV)の急速な普及に伴い、リチウムなど車載バッテリーに必要な資源の需要が急増していることを受けたもの。サルデーニャ島のポルトスクーゾにあるグレンコアの亜鉛、鉛精錬所を改装し、廃EVバッテリーなどからリチウム、ニッケル、コバルトをはじめとするEVバッテリーの製造に欠かせない鉱物を回収する。
同工場は年最大5~7万トンのブラックマス(バッテリーを解体、破砕する際に出るニッケルなどの濃縮滓)をリサイクル処理する能力を持つ。EV60万台分の廃バッテリーをリサイクルできる規模だ。
両社は現在、実現可能性調査を実施している。調査は2024年半ばに終了の見通し。順調にいけば、26年末または27年初めに稼働の予定だ。