欧州議会は9日の本会議で、ロシアとの戦闘が長期化し、弾薬不足に陥っているウクライナを支援するため、欧州連合(EU)域内の弾薬、ミサイル生産を増強し、同国に供給する法案の早期成立を図る決議案を採択した。緊急時の手続きを適用して審議を迅速に進め、5月31日~6月1日に開く次回の本会議で可決することを目指す。
欧州委員会が3日に発表した「弾薬生産支援法(ASAP)」と呼ばれる同法案は、EU予算から5億ユーロを拠出し、域内の防衛関連企業による弾薬、ミサイルの増産体制を整備するというもの。
ウクライナは戦闘が長引き、弾薬が不足している。供給を続けてきたEUも、域内での生産体制が十分ではなく、在庫不足の状態だ。同法案にはウクライナ軍の反転攻勢を後押しするため、弾薬、ミサイル供給を早急に拡大する狙いがある。欧州議会は賛成518、反対59の圧倒的多数で決議案を採択した。
法案は議会で可決されても、EU加盟国の承認が必要。欧州議会は加盟国側との折衝を進め、承認を取り付けた上で、法案が修正された場合は7月の本会議で最終可決する方針だ。