伊複合企業のフィアットは21日、トラック子会社のイベコや農機・建機子会社のケース・ニュー・ホーランド(CNH)などの産業部門を分離して新会社「フィアット・インダストリアル」を立ち上げる計画を発表した。残りの自動車事業を中心とする新生フィアット・グループは20%出資するクライスラーとの提携を通じ、ラインアップ拡充と販売の拡大を目指す。
\フィアット・インダストリアルの株式は市場で公開する計画。新会社の会長にはフィアットのセルジオ・マルキオーネ最高経営責任者(CEO)が就任する。産業部門の分離は監査役会が承認後、6カ月以内を計画しており、年内にも実現する見通し。フィアットの株主は同社株1株に対してフィアット・インダストリアル株1株が割り当てられる。
\これまでにも自動車部門と産業部門を分離する計画はあったが、金融危機の影響などで先送りされてきた。両部門を分離することで、各事業の柔軟性が高まる利点がある。自動車部門で他社との提携話が持ち上がった際に、フィアット・グループに非自動車部門が含まれることがネックとなったこともあるという。自動車部門は今後、米クライスラーと部品の共有化などを通じ、生産効率の改善やラインアップの拡充を進めていく。
\同日発表した2010~14年の5カ年計画によると同社は、フィアット・グループの新車販売を2010年の約200万台から2014年に380万台に引き上げる。クライスラーの販売も合わせると2014年に600万台を超える規模を目指す。
\産業部門を分離した後のフィアット・グループの売上高は2010年に320億ユーロとなる見通し。同売上高は2014年までに2倍に引き上げる計画。一方、フィアット・インダストリアルの2010年売上高は190億ユーロが見込まれている。
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