フィンランドの発電機・船舶用エンジンメーカーのバルチラはサービス(保守、修理、交換部品)事業を強化する計画だ。同社のオーレ・ヨハンソン社長は『フィナンシャル・タイムズ(ドイツ版)』紙に対し、年内に複数の企業を買収する可能性があると示唆した。特に、船舶用スクリューや駆動装置、自動化システムなど同社があまり得意としない分野を強化したいとした。
\バルチラの売上高のうちサービス事業は全体の4割以上を占める主力部門。発電用エンジンと船舶用エンジンはそれぞれ約30%となっている。同社は2005年に独エンジンメーカーのドイツからサービス事業を買収した経緯がある。
\業界では、バルチラの競合の独MANが経営戦略の見直しにより、船舶用エンジン事業を売却するか株式を公開するとの憶測がある。ヨハンソン社長はこれについて、MANの事業を買収する計画はないと明言。両社ともシェアが大きすぎるためカルテル上の問題が生じると説明した。また、買収候補はドイツ企業ではないとも語った。
\バルチラの2009年通期の売上高は前年比14%増の52億6,000万ユーロ。景気の影響が後から表れる業種であることから、2010年1-3月期は前年同期比26%減の9億2,200万ユーロに落ち込んだ。ヨハンソン社長は今後について、商船向けの事業は特に厳しい状況にあるが、洋上風力発電設備の建設・保守船舶やガス・石油産業向けの船舶やクルージング船向けの事業では見通しが明るいとしている。
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