独ステアリング部品大手のZF Lenksysteme(シュヴェービッシュ・グミュント、ZFLS)が回復基調にある。同社は5日、10年1‐3月期の売上高が前年同期比58%増の7億3,000万ユーロに拡大し、経済危機以前の水準に回復したと発表した。国外需要の急回復がけん引した。09年は金融・経済危機のあおりを受けて受注が急減、設立以来初めての営業赤字を計上したが、10年は売上高、利益ともに前年を上回る見通しという。
\ZFLSは独自動車部品大手のZFフリードリヒスハーフェンとボッシュが折半出資する会社で、1999年にZFのステアリング部門から分離した。設立以来順調に業績を伸ばし、08年の売上高は25億9,400万ユーロ、営業利益は4,000万ユーロだった。しかし、09年は金融・経済危機の直撃を受けて受注が急減し、9,800万ユーロの営業赤字に転落した。業績悪化を受けて従業員を5.5%削減したほか、カナダ工場を閉鎖するなどのリストラを実施した。
\今年に入ってから国外市場を中心に需要が回復し、中国、北米工場の稼働率が大きく改善した。
\特に好調に推移しているのは新開発の電子制御ステアリングで、従来の油圧式ステアリングの売り上げを初めて上回ったという。
\ただ、ZFLSのハンケル社長は「原料価格は高騰しており、金融市場は依然として先行きが不透明だ」と述べ、まだ完全にヤマを越えたわけではないとして、慎重な見方を示した。
\