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2011/3/11

総合 – 自動車産業ニュース

ドイツ、バイオ燃料「E10」の導入で混乱

この記事の要約

バイオエタノールの混合比率を10%に引き上げたガソリン「E10」の導入に伴い、ドイツのガソリン販売市場で混乱が生じている。E10は今年1月から販売を開始したが、利用するドライバーが少ないため、石油業界連盟(MWV)は3月 […]

バイオエタノールの混合比率を10%に引き上げたガソリン「E10」の導入に伴い、ドイツのガソリン販売市場で混乱が生じている。E10は今年1月から販売を開始したが、利用するドライバーが少ないため、石油業界連盟(MWV)は3月3日、E10の供給を当面控える方針を明らかにした。これを受けて8日には、政府・業界関係者による「ガソリン円卓会議」が開かれ、E10の販売を継続することで合意した。ドイツ政府はE10の導入により、欧州連合(EU)の再生可能エネルギー普及に向けた目標数値の達成を目指している。

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■ E10の販売、今年1月からスタート

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ドイツでは1月初めからE10の販売がスタートした。ただ、政府の決定が昨年12月であったため、販売体制が整うまでに時間がかかり、3月初めの時点では、国内のガソリンスタンド約1万5,000カ所のうち、7,000カ所以上で販売されていた。しかし、E10を利用するドライバーが少なく、従来のエタノール混合比率が5%のスーパーハイオクガソリン(Super Plus)の需給がひっ迫したため、石油業界は、E10 の販売スタンドの整備を当面、控える方針を明らかにした。

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E10は従来のスーパーハイオクガソリンに比べ最大で8ユーロセント安いものの、スーパーハイオクガソリンに比べて燃費が若干悪くなる難点がある。また、国内で走行している車両の約90%はE10に対応しているとされるが、 エンジンに故障が出る事態を避けたいと考えるドライバーも多いようだ。

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■ 政府・業界関係者、販売継続で合意

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8日の政府・業界による円卓会議では、E10の利用促進に向け、消費者への啓蒙活動を強化するほか、ガソリンスタンドでドライバーがE10に適応している車両のリストを照会できるようにすることなどで合意した。同リストは自動車メーカーがE10に適応することを確認した車両を掲載したもので、法的拘束力を持つ。これまではインターネット上でしか公開していなかった。

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今回の会議は、ライナー・ブリューデルレ連邦経済相が招聘したもので、連邦環境相や消費者保護相、交通相のほか、石油業界、自動車業界、消費者保護団体、自動車クラブなどの関係者が出席した。政府は、バイオ燃料の導入は、地球温暖化防止対策や資源の有効利用、エネルギーの安定供給において不可欠な措置であるとの立場を示し、今後もE10の販売を継続する方針を強調した。

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■ EU、交通セクターの再生可能エネルギーの割合を10%に

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EUは2007年3月に交通セクターにおける再生可能エネルギーの割合を2020年までに10%に引き上げることを決めた。これによりEU加盟国には同目標の達成が義務付けられたが、目標達成の方法は各加盟国が独自に決めることができる。

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フランスではすでに、2009年にE10の販売を開始した。同国ではE10に対応した車両の割合が約70%とドイツに比べ少ないにもかかわらず、大きな混乱は生じなかった。石油業界が早期に消費者への啓蒙活動を開始したことが奏功したとみられている。オーストリアでは2012年秋からE10を導入する計画だが、ドイツの混乱を受けて、導入に慎重な意見も出ているという。また、スウェーデンではエタノールの混合比率が85%の「E85」も販売されている。スウェーデン政府はE85に対応する車両の購入に補助金を出し、販売を促進している。

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