オーストリア学術基金(FWF)が支援する特別研究プログラム(SFB)の研究チームはこのほど、コンピューターシミュレーションにより、高性能磁石に使用するレアアース(希土類)の使用量を大幅に削減できる可能性があるとの研究成果を発表した。同成果は、原子レベルから可視レベルまで幅広い範囲を網羅したシミュレーションシステムの開発によって得られたとしている。
\同プロジェクトに参加するザンクト・ペルテン専門大学(FH)の研究チームは、レアアースであるネオジムのほか、鉄、ホウ素を含むネオジム磁石の構造を研究した。その結果、磁石を構成する材料の3つの粒子の境目が重なる三重会合点(トリプルジャンクション)で特に、結晶格子が変形し、磁力が弱まることが確認された。変形部分を修正することにより磁力が大きくなるため、ネオジムの使用量を減らせるとしている。
\今回のプロジェクトは、12のプロジェクトチームで構成され、電子工学、太陽光技術、樹脂加工、光磁気メモリー、電気自動車や風力タービン用の高性能磁石など幅広い分野から50人を超える研究者が参加した。研究成果は、米サン・ディエゴで開催された鉱物金属材料学会(TMS:The Minerals, Metals & Materials Society)で初めて発表された。
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