リチウムイオン電池だけで駆動するヘリコプターの試作機がこのほど、世界初の有人飛行に成功した。航空エンジニアのパスカル・クレチアン氏が仏技術開発会社のソリューションFから委託を受けて開発したもので、1メートルの高さで130秒間飛行した。試作機の開発には1年を要したという。
\航空機分野ではバッテリー駆動モーターの開発が進んでいる一方、ヘリコプターは構造上、離着陸や飛行時に一般の航空機よりはるかに多くのエネルギーを必要とするという事情から、バッテリータイプの開発はこれまでのところほとんど進んでいなかった。
\クレチアン氏のヘリコプターは、エネルギー密度160Wh/kgのリチウムポリマー電池を搭載。エネルギー効率を高めるため、メインローターとテールローターの2つのローターを持つ従来式の構造に代わってツインローター式(同軸反転式)を採用したほか、個々のブレードの向きや運動方向を変えて揚力をコントロールする従来の方式から、重心の移動によってコントロールする方式に変更した。さらに、ブラシ付き交流モーターを採用するなど機体の軽量化も徹底した。
\最大の難関はバッテリーで、事故を起こして爆発しないようにすることに最大の注意が払われたという。
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