Carbon2Chem

製鋼所の製鋼工程で発生する二酸化炭素(CO2)などのガスを燃料、樹脂、肥料などの化学製品の生産に活用することを目指すドイツの共同研究プロジェクト。基礎研究の成果を市場投入できる段階に発展させるための研究開発に取り組む。

同プロジェクトには、独鉄鋼大手ティッセンクルップなどの民間企業や、マックスプランク研究所、フラウンフォーファー研究所、大学などの研究機関の計17パートナーが参加している。

プロジェクトのパートナーは2025年までに1億ユーロ超の投資を計画。また、ドイツ連邦教育研究省(BMBF)は同プロジェクトに6,000万ユーロ以上を支援している。

製鋼工程で発生するガスは従来、燃焼させて電気や熱に変換し、製鋼工程で使用してきた。今回のプロジェクトでは、製鋼工程で発生するガスを化学製品に活用することを目指す。製鋼工程で発生するガスには、水素、窒素、炭素などが含まれている。ただ、例えば、製鋼所で発生するガスをアンモニアに変換し、化学肥料の原料とする技術はすでに確立しているが、経済性を確保できていないという。

Carbon2Chemでは、市場投入できる水準に達するには少なくとも10年の開発期間が必要であると見込んでいる。

また、Carbon2Chemの取り組みを通した技術により、将来、鉄鋼業界が排出する二酸化炭素(CO2)のうち年2,000万トンを経済的に活用できると見込んでいる。

ティッセンクルップ・スチール・ヨーロッパの本社のあるデュースブルクではこのほど、同社の敷地内にCarbon2Chemの技術センターを建設するための鍬入れ式が行われた。同技術センターは、Carbon2Chemの開発プロジェクトで中心的な役割を担うという。2018年春に完成する予定。

ティッセンクルップは同センターの建設に3,380万ユーロを投資する。また、BMBFは支援予算から約1,000万ユーロを技術センターの設備などに拠出する。

上部へスクロール