REZEBT

燃料電池用水素再循環ブロワーを開発するドイツの共同研究プロジェクト。研究開発サービス会社G+L innotecが開発した内燃エンジン用ターボチャージャー向けのメディアギャップモーター(MGM)を燃料電池に活用することで、コスト効率の改善や、燃料電池の寿命が長くなるなどの利点がある。

当該プロジェクトは、2020年4月からスタートした。実施期間は2年で、1年後にはプロトタイプを製造する計画。

G+L innotecが開発したメディアギャップモーター(MGM)と呼ばれる電気モーターは、磁石とコイルの隙間が広い特徴を持つ。このため、MGMでは、媒体が電気モーターを通る間に冷却される。

燃料電池では、水素タンクからアノードに供給される水素がすべて使用されないため、未使用の水素を循環して再びアノードに供給している。この水素再循環システムには現在、スチール製ポンプが使用されている。ただ、例えば市街地での走行など、車両の停止と発進が頻繁に繰り返される環境では、水素の消費量が多くなり、スチール製ポンプが効率よく作動しない難点がある。

MGMを使用した水素再循環ブロワーでは、◇シールが不要なため、安全性が向上し、製造コストが低減する◇水素がMGMの通過により冷却され、ブロワーの稼働効率が向上する◇負荷に応じて再循環を精密に制御できるため、水素消費量が低減する◇負荷に関係なく、アノード側に進入してくる窒素や水蒸気を確実に排出することができるため、燃料電池の寿命が長くなる――などの利点がある。

プロジェクトには、調整役のG+L innotecのほか、ハノーバー大学(LUH)のターボ機械・流体力学研究所(TFD)、デュールブルクの燃料電池技術センター(ZBT)も参加している。また、ドイツ連邦経済・エネルギー省(BMWi)は、「中小企業のためのイノベーションプログラム(ZIM)」を通して当該プロジェクトを支援している。

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