2010/1/4

総合 –EUウオッチャー

セルビアがEU加盟を申請、2014年の加盟目指す

この記事の要約

セルビアが12月22日、EU議長国スウェーデンにEU加盟を正式申請した。旧ユーゴスラビア諸国では、クロアチア、マケドニアなどに続く加盟申請となる。セルビアは2014年の加盟を目指すが、ボスニア内戦時の戦犯の逮捕など課題が […]

セルビアが12月22日、EU議長国スウェーデンにEU加盟を正式申請した。旧ユーゴスラビア諸国では、クロアチア、マケドニアなどに続く加盟申請となる。セルビアは2014年の加盟を目指すが、ボスニア内戦時の戦犯の逮捕など課題が多く、多難な道のりとなりそうだ。

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セルビアのタディッチ大統領はスウェーデンのストックホルムを訪問し、同国のラインフェルト首相に加盟申請書を手渡しした。ラインフェルト首相は記者会見で、「セルビアの加盟申請は同国だけでなく、EU全体の発展にとって重要な出来事だ」と歓迎の意を表明。タディッチ大統領は2014年の加盟実現を目指し、必要な改革に取り組む姿勢を示した。

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旧ユーゴで最大のセルビアは、EU加盟の前段階となる「安定化・連合協定(SAA)」を2008年4月に締結したが、ボスニア内戦時の大物戦犯が逃亡中であることから協定発効が見送られている。しかし、戦犯逮捕に向けた努力がようやく認められ、EUは12月初めに貿易関連を中心とする暫定協定の発効を決定。セルビアはこれにより環境が整ったとして、加盟申請に踏み切った。

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セルビアにとって次のステップとなるのは加盟候補国としての認定。それを経た上で、加盟交渉を開始する。同国は加盟に向けて、組織犯罪対策、司法改革といった国内改革を迫られるほか、ICTYから訴追されているムラジッチ被告(元セルビア軍司令官)とハジッチ被告(セルビア人勢力元政治指導者)という2人の大物戦犯の逮捕が必要。さらに、一方的にセルビアからの独立を宣言したコソボの地位問題も立ちはだかる。EUでは大部分の加盟国がコソボを国家として承認しているが、セルビアは認めていない。EUは現在、同問題と加盟手続きを切り離しているが、正式加盟までに解決する必要がある。

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旧ユーゴではスロベニアが2004年にEU加盟国となったほか、クロアチアが加盟交渉を行っている。さらに、マケドニア、モンテネグロ、アルバニアが加盟を申請済みで、うちマケドニアは加盟候補国として正式認定され、加盟交渉開始を待つ段階にある。

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