2010/1/25

環境・通信・その他

EU域外での携帯電話料金が上昇、ローミング規制の弊害浮き彫りに

この記事の要約

英調査会社タリフ・コンサルタンシー(TCL)がまとめた携帯電話料金に関するリポートによると、EUが導入した料金規制によって域内の他の国で携帯電話を使用する際の料金は半分程度に引き下げられたものの、EU域外で使用する際の料 […]

英調査会社タリフ・コンサルタンシー(TCL)がまとめた携帯電話料金に関するリポートによると、EUが導入した料金規制によって域内の他の国で携帯電話を使用する際の料金は半分程度に引き下げられたものの、EU域外で使用する際の料金は逆に上昇していることが分かった。TCLは料金規制による収入の減少を最小限に抑えるため、多くの事業者が規制の対象になっていないEU域外で携帯電話を使用する際の料金を引き上げていると指摘。こうした現状を改善するには利用者側が料金体系に関する情報を収集し、正確に理解する必要があると指摘している。

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EUは域内の他の国で携帯電話を使用する際の料金を引き下げるため、2007年から国際ローミング料金に一律の上限を設けて事業者に適用を義務付けている。さらに音声通話以外のサービスについても国による料金のばらつきを解消するため、昨年から域外の他の国でショートメッセージサービス(SMS)やデータ通信を利用する際にかかる料金にも上限を設けている。

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TCLによると、EU域内の他の国で携帯電話を使用する際の通話料金やSMS料金は3年前に比べて約半分に引き下げられたが、EUが定めた上限より低い料金を設定している事業者は極めて少なく、規制の上限が事実上の標準料金になっている。さらに料金体系上、従来はEU諸国と同じエリアに属していた国(たとえばノルウェー、スイス、米国など)を他のエリアに分類したり、EU域外での利用を前提としたパッケージを用意して高い月額料金を徴収するなど、事業者はさまざまな方法で規制に伴う収入減を穴埋めしようとしている。その結果、EU域内から隣のゾーンへの通話料金は平均3倍に、EU域外から隣のゾーンへのSMSとデータ通信の料金はそれぞれ2.6倍、3.7倍に上昇している。

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