2010/2/1

産業・貿易

EUの砂糖輸出が上限超過へ、世界的不作で特例対応

この記事の要約

欧州委員会は1月27日、EUの今シーズンの砂糖輸出について、世界貿易機関(WTO)が定める上限に50万トン上乗せすると発表した。砂糖が世界的に不作で価格が急上昇していることを受けたもので、「例外的な状況」にあるためWTO […]

欧州委員会は1月27日、EUの今シーズンの砂糖輸出について、世界貿易機関(WTO)が定める上限に50万トン上乗せすると発表した。砂糖が世界的に不作で価格が急上昇していることを受けたもので、「例外的な状況」にあるためWTO協定違反には当たらないとしている。

\

EUでは共通農業政策(CAP)に基づき、砂糖生産者に補助金を支給して保護している。しかし、国際社会から生産コストが市場価格を超えても補助金を後ろ盾に安値での輸出が可能となっていると批判され、2005年からWTO協定により補助金付き砂糖の輸出は年間137万トンに制限されている。

\

ところが砂糖市場では、2009年に主要生産国であるブラジル、インドが天候不順で不作となったことで価格が記録的な水準まで高騰している。これを受けて、豊作だったEUは昨年11月、09/10年シーズン(~10年7月末)の補助金付き砂糖の輸出量を、独自に決めた上限の65万トンから引き上げ、WTOが定めた上限ぎりぎりの135万トンまで拡大することを決定。今回の50万トン追加により、ついに上限を超過する。

\

これについて欧州委のフィッシャー=ボエル委員(農業・農村開発担当担当)は、砂糖の価格高騰により国際相場がEU産砂糖の生産コストを上回っていることを強調。コストが価格を上回るときは補助金が問題となるが、現在の状況は例外的として、輸出が上限を超えても協定違反にはならないとの認識を示した。また、今回の措置は一時的なもので、来シーズンの輸出枠は通常の65万トンとすることも言明した。

\